前回の日記では、こういうな話を書きました。
元々、動物病院とインターネットとは相容れないもの、いやむしろ敵のような関係でした。
過去形になっていることには意味があります(後で説明します)。で、その理由として、
・飼い主さんが、ネットのいい加減な情報に惑わされる
・その情報を鵜呑みに、間違った知識で間違った治療を望む
という2点をあげたのですが、今日はその続きを書きます。
・情報だけでなく、サプリやフード(処方食)、さらには薬まで手に入ってしまう
いい加減で間違った情報、あるいは正しい情報であっても自分い都合のいいところだけを読んで曲解してしまうという点については、まだ病院へ来ていただいた時にしっかりお話をして誤解を解くことが可能ですが、ネットでサプリやフード、薬を購入されて使われると我々は困ってしまいます。
儲からないから?いいえ、違います。安全性を担保できないからです。
サプリやフード、そして薬を一般の方がネットで買うときの危険性は4つあります。
1,間違える可能性
フードや薬の名前はよく似ているものがたくさんあります。パッケージもフードなどによってはよく似ていて、名前だけ違うというものも数多くあります。肝臓用と腎臓用、腎臓用と心臓用など、フードの場合は間違ってもすぐに悪影響が出ない場合もありますが、薬の場合は直接命に関わります。
同じ薬でも、1錠あたりの内容量が違うものがたくさんあります。病院で1錠(10mg)飲ませてたから、ネットで買ったのも1錠(20mg)飲ませてたら薬の用量が2倍で深刻な結果に、なんて事も起こりえます。
いや、薬用量(体重1kg当たり薬を何mg与えるか)もネットで調べるから大丈夫?その情報、本当に正しいと判断できますか?それに、その子の状態・年齢・体調・病態によって1日に飲ます量や回数をきちんと調整できますか?
あえて上から目線で書かせてもらいますが、シロウトさんが薬を自己判断で処方するのは無理です。「薬剤師」という国家資格がなぜあるかを考えればその難しさをご理解いただけると思います。(薬を扱えるのは医師、薬剤師、歯科医師、そして獣医師のみです)。
2,偽物の可能性
フードやサプリでは少ないでしょうけど、薬の偽物はたくさん出回っています。特に高い薬でその傾向は顕著です。いちばん有名なのは、男性のEDの治療に使われるシルデナフィル(バイアグラ)、タダリス(シアリス)ですね。病院で処方してもらうと1錠1000円以上しますが、ネットでは数百円で買えます。しかしその多くは偽物だと言われています。
ED治療薬なら効果がなくても命に別状はありませんし、プラシーボ効果で効くかもしれませんが、動物の薬の場合、プラシーボ効果は期待できませんし、何より命に関わります。高い薬を使わざるを得ない時というのは、えてして重篤で深刻な病態のときだからなおさらです。
あなたかあなたの家族が難病にかかったとします。お医者さんで、この飲み薬を使うと治りますが1ヶ月で50万円掛かりますと言われました。その時、ネットで同じ薬を調べたら国産ではない聞いたことのないメーカーが同じ成分の薬を5万円で売っているのを発見しました。
その薬、ネットで取り寄せて使いますか?・・・・私なら使いません。
長くなったので、続きます。
2021年02月01日
動物病院とインターネット、続き
posted by hiro at 18:05| Comment(0)
| 診療
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