2014年12月01日

「様子を見る」ということ

飼っている動物の調子が悪い時、ほとんどの人が最初にすること、それは「様子を見る」事ですね。「ネットで調べる」がその次でしょうか(笑)。

もちろん、いつもとちょっとでも様子が違うとすぐに病院へ連れてきてくださる方もおられますし、それは実はまったく正しいのです。本音をいうと「様子を見ていいかどうか」はよほど観察眼が鋭いか、あるいは実際に診察しないと判断が難しいものなのです。

 それに、動物たちは病気を隠します(特に猫)。ですから、調子が悪い事を飼い主さんに見せる時というのは実は結構病気が進行していたり、重大な状態にまで進んでしまっている事もある、ということは頭に入れておいて下さいね。


 さて、そういう事をいちおう前提にして、「様子をみる」について考えたいと思います。まず前提条件として、

・子犬・子猫(おおむね生後半年未満)
・老犬、老猫(おおむね12歳以上)
・持病がある動物(特に心臓・呼吸器・ホルモン系)


の場合は「様子を見る」のは絶対ダメ!です。半日、あるいは数時間で取り返しのつかない事になってしまう可能性があります。夜中でも夜間救急病院に走っていただいたほうが良い場合もあります。

あと、もちろん、普段とぜんぜん違う行動、例えば

・体を痒がって散歩も行けない
・足を完全に挙げ、3本足で歩いている
・ウロウロと落ち着きが無い
・普段と違う声を出す
・夜中一睡もしない
・体を触ると「キャン」と叫ぶ
・呼吸器の症状(息が荒い、咳をしている、呼吸がしにくそう)
・体全体の症状(ぐったりしている、舌の色が真っ白、体温が下がっているようだ)


などは重大な病気の兆候かもしれませんので、若くても持病がなくてもすぐ来院していただいたほうがいいです。


 次に、まあまあ若くてまあまあ健康で、特に持病もない動物で、連れて行くべきか迷う症状の場合。ポイントは「様子を見て取り返しのつかないことになるかどうか」です。もっとはっきり書けば「半日〜1日ぐらい様子を見ているうちに手遅れになる可能性がある病気かどうか」ということですね。そういう意味から、

症状が1つだけの場合、半日〜1日様子を見てもいい

と考えて下さい。例えば、

・1度もどした(嘔吐)けど、元気で食欲もある。
・下痢しているけど元気だ
・元気だけど食欲が少しない

などは症状が1つだけなので半日〜1日様子を見てもいいと思います。ただし、あくまで半日〜1日です。3日も4日も続いて嘔吐がでているのに「様子を見て」いてはいけません!そういうのは「見て見ぬふりをしている」といいます。

次にこれを応用して考えると、

・もどした(嘔吐)あと、下痢もしている(でも元気)
・下痢していて朝より元気がなくなってきた
・食欲が無い、さらに元気もあまりない

という場合、症状が2つになっているわけですからこういう場合は病院へGo!です。いずれにせよ、迷ったら連れて来ていただいたほうが無難です。

 現在当院ではワンコインで往診しております。また、土曜日、日曜日も診察しております(原則午前中)ので、お気軽にご来院下さい。


 お断り:今回の内容はあくまで一般論であり、単一の症状の動物が全て軽症であり、様子を見ても大丈夫、という意味ではありません。判断はあくまでご自身で、迷ったら必ず連れて来てください。


 最後にお願い。病院へ行くべきかどうかを電話でお聞きになる飼い主さんが多いです。「●●なんですが、大丈夫ですか?」「今●●したんですが、どうすればいいですか?」という感じです。

 その答えは申し訳ありませんがいつも同じです。「お話だけでは何とも言えません」。まあたぶんほとんど大丈夫だろうな、と思う症状や相談でも、お電話での相談では基本的には「大丈夫です」とは絶対に言いません(言えません)。

 だって、ほんとにわからないんですもん。「どうしよう」と迷ったら病院へ。
posted by hiro at 17:45| Comment(0) | 健康

2014年11月08日

跛行(歩き方がおかしい)診断は難しい

動物の体は基本的に左右対称ですね。その左右にまつわるお話の第一回目。今回は跛行(はこう)について。跛行とは医学用語で、歩き方がおかしい、いわゆる「びっこ」のことをいいます。

「先生、この子今朝から歩きかたがおかしいんです」

という主訴(症状)で来院する犬は意外と多いです。

 余談になりますが、猫で跛行が少ないのは、もともと運動能力が高く怪我などをしにくい事、犬に比べ体重が軽いので重症化しにくいこと、膝や肘を曲げて歩けるので跛行してもわかりにくい事、散歩をしないので脚の異常に気づきにくいこと、そして犬に比べて痛みや異常を隠す傾向が強いこと等があげられます。


 で、その跛行ですが、前足と後ろ足の異常を間違えることはありませんよね。でも、実は右と左の異常はなかなか分かりにくいんです。もちろん完全に足を挙げて地面に付かないぐらいの異常は別ですが、軽い症状の場合、飼い主さんが右と言っても実は左が悪かった、ということもたまにあります。

 ちょっと書きにくいんですが、実は私もパッと見ただけでわからない場合があります。もちろん触ったり動かしたりして調べればほとんど分かるのですが、ごくわずかな異常の場合や両方に異常がある場合(老年性の変形性関節症など)、それでも迷うことが多いです。

 そこで活躍するのが、いわゆるスローモーションが撮れるハイスピードカメラ。普通の動画は1秒間に30コマ(30fps)ですが、私が持っているカシオのデジカメは210fpsで撮影できます。それで見ると、ごくわずかな異常もわかりやすくなります。

 ですから、もし「歩き方がおかしい」という主訴で病院へ来られた時、私がカメラを持ちだしたら「ああ、微妙な症状なんだな」と温かい目で見て下さいね(笑)
posted by hiro at 11:39| Comment(0) | 健康

2013年07月26日

偏食の話


医食同源という言葉がありますが、動物にとっても食事は健康の大変重要な要素です。

まずご理解いただきたいのは、人間にとっての食事の意味と犬猫にとっての食事の意味は少し違うということです。


人間は味覚が発達しているため、「いろいろな食材」を「色々な味付け」で食べる、という事を重視します。いわゆる食文化という考え方です。

つまり、栄養的に問題がないだけの食事では満足できないわけです。毎日同じ食事を食べないといけないとなったら、大げさに言うと人生の楽しみも半減してしまいますよね。


しかし犬や猫の場合、人間ほど味覚も発達していませんので、「いろいろな味を楽しむ」という欲はほとんどありません。もしあるとしたら、栄養学的に足りないものを補いたいという本能でしょうか(草食動物が塩を一生懸命舐めるような)。

つまり、犬や猫にとって「食欲」とは「栄養学的にきちんとしたものを、必要量摂取する」という事なのです。本来は味を楽しんだり、食材のバラエティを楽しむことはほとんどありません。(もちろん、まったく味がわからないわけではありませんが)

「えー、うちの◯◯ちゃんはすごいグルメで、△△△の□□□しか食べへんで。それって味が分かってるんとちゃうの?」

はい、そう仰ると思っていました。そういう子もいます。特に猫では「このメーカーのこの味しか食べない」という子も多いです。

しかし、それは後天的に学習した、つまり「そういうふうに育てられた」からそうなったのであって、残念ながら◯◯ちゃんの味覚が特別に優れているわけではないのです。
(食文化的に考えれば、1つのものしか食べないというのは必ずしもグルメってわけではないですよね)


もちろん、生まれつき偏食傾向がある子もいますが、多くは子犬・子猫の頃からきちんと食についてしつけができていればそうはならなかった可能性も高いのです。

特に、熱心で頭がよく、人一倍可愛がる飼い主さんが陥りやすい失敗なのですが、子犬・子猫が一食でも食べないと心配してフードを変えたりトッピングをしたりする。すると動物はどう思うか。

「あ、ご飯を食べるのを1回我慢したらもっと美味しいものが出てくるんだな」

と学習します。そして悪循環が始まり、ついにはジャーキーしか食べないなんて子も・・・・
つまり「ぜいたく病」ですね。(すべてのジャーキーが悪いわけではありませんが、所詮はオヤツですね。ご飯の代わりにオヤツだけ食べて生きていくことは、不可能とは言わないけれどリスクが高すぎます)


「ぜいたく病」でフードを食べない場合は、15分ぐらいでフードを下げてしまって、次の食事まで水以外一切与えないで下さい。それを2〜3日繰り返せば、ほとんどの子は根負けします。


 ただし、この方法は肥満気味の猫に対して行うと「肝間脂肪症」という病気を引き起こす可能性があるので、太り気味の猫ちゃんには行わないで下さい。あと、ぜいたく病かどうかわからない場合(病気で食欲が無い場合)ももちろんありますので、この方法を始める場合は必ず相談してからにしてくださいね。
posted by hiro at 12:32| Comment(0) | 健康