2021年01月19日

TNRの賛否について

TNR活動ですが、「飼い主さん側と獣医師側」、あるいは「ネコに興味がない方と好きな方」で賛否両論あるのは知っています。

賛成の方の意見はおおむね以下の通り。
・キャットファーストで不幸な子猫、殺処分ネコを減らしたい
・活動することで猫の数が減り、結果的に環境がよくなる

一方反対派の意見はこんな感じ。
・安かろう・悪かろうの手術で問題が出る
・普通に手術する獣医師に対する間接的な圧迫になる
・そもそも動物愛護なんて興味がない
・動物愛護家には胡散臭い人間が多い
・野良猫に餌を与えてるひと、いわゆる「えさやりさん」が非協力的

 どちらも正論です。動物愛護、あるいはボランティアの問題は根が深く、なかなか正解というものがありません。

 そもそも、賛成派と反対派が正反対の方向を向いていることが多いため、議論にすらならない、平行線で当たり前なのかもしれません。現に、開業獣医師の間でも賛否両論あります。

 でも、反対する獣医師が動物(この場合はネコ)が大嫌いかといえばもちろんそんな訳はありませんし、賛成する獣医師が皆ボランティア精神にあふれているかというと必ずしもそうとは言い切れない(悪い意味ではなく、ビジネスとしてNTR手術を行っているという意味です)のがややこしいところです。



 私も、昔は目の前の(病院へ来てくださる)患者さん、動物たちのことで手一杯だったので、地域猫や野良猫の問題にはあえて目を向けませんでした。見て見ぬ振りをしていた、と言っても言い過ぎではありません。

 しかし、数年前にあるご縁があって地域猫の避妊去勢手術をお受けすることになり、数百頭の野良猫の手術をする中で、私のように小さく無名で特別な取り柄のない獣医師・動物病院でも皆様に(診療以外で)役立つことがあるんだなと誇りに思えるようになったのです。

 ただ純粋に、目の前で困っている人をがいるなら、それを助けるスキルを(微力ながら)持っているんだから手助けしようよ。どうせ残り少ない人生なんだし・・・と思ったのです。

 正直、小さな動物病院がTNR活動(手術)をするのはリスクがあります。院内感染は大丈夫なのか、一般の飼い主さんが離れてしまわないか、近隣の同業者はどう思うか、一見さんの動物愛護家さんたちとトラブルなく仕事ができるのか・・・

 でも、悩むより始めよう。なるようになるっしょ!


 ・・・全体的にょっと綺麗事すぎる文章ですが、まあそういう事で。
posted by hiro at 18:48| Comment(0) | TNR