寒くなってきました。今年は秋がほんの少ししかなく、すぐ冬が来てしまった感じですね。晩秋から初冬は自律神経に負担がかかり、お腹を壊したり食欲がなくなったりすることも多いのでお気をつけ下さい。特に小型犬は体が冷えやすいですし、さらに高齢の犬、猫は要注意です。不調が2日以上続けば来院していただいた方が良いと思います。
さて、今日の話題は「似非(エセ)科学」です。聞いたことがありますか?「疑似科学」などと呼ばれることもあります。
言葉である程度予想がつくと思いますが、このエセ科学とは、
「いっけん科学的で信ぴょう性があるように聞こえるが、実はぜんぜん(あるいはほとんど)実証されていなくて、逆にとんでもないウソや詐欺に近い内容もある方法論や研究のこと」
を指します。有名なところで言うと、
血液型別性格判断
手相・占星術・などの占い一般
超能力
などが代表です。まあこの辺りは「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という言葉もある通りですから、実害は少ないですし、ニセモノだと理解しつつ楽しむこともできます。しかし、
ホメオパシー
ゲルマニウム・トルマリンの効用
マイナスイオン
活性水素水
(食べる)酵素
などになってくると、少し悪質度が増してきます。本人が心の底からが信じ、誰にも迷惑をかけないで実践されている分には文句を言ったり否定したりする私のほうが「大きなお世話」なのですが、これらを使って人を騙し、金儲けをし、あるいは善意からでも人に勧めるようになってしまうとそれは大きな問題です。
なぜなら上にも書きましたがそれらはすべて「ウソ」だからです。
ちなみにここでいう「ウソ」とは、現代の科学で証明、解明できないということです。でもこう書くと「科学で解明できないこともあるだろうし、今は無理でも10年後に証明されるかもしれないじゃないか」という人が必ず出てきます。でもそれは詭弁なのです。
なぜ詭弁なのか。いくらでも反証を挙げることができますが、ここでは1つだけに絞って書きます。「科学」とは、ごく簡単に書けば「再現性がある」という言葉に置き換えることができます。「再現性」とは科学用語ですが、一般の用語で説明すると「同じ条件なら、いつ、どこで、誰がやっても同じ結果になる」ということになります。
地球上でりんごを手から離せば、誰がどこで離してもそのリンゴは地上に落ちます。それが「万有引力の法則」なのです。だから「ゲルマニウムブレスレット」が10人中3人の「肩こりが劇的に改善した!」というだけでは、「科学的に効果がある」とは認められないのです。なぜか。
10人中3人ぐらいは「こんなに高いブレスレットしかもゲルマニウムという何となく放射能や磁力みたいなものが出てるありがたい金属が付いてるんだからきっと肩こりにいいに違いない。そもそも効果のないものを売るはずがないだろうし効果がなかったらこんなに売れ続けているわけがない。TVであの人もいいと言ってた。近所のおばちゃんもいいと言ってた。だから効くんだ」と思うので、そういう人にはプラシーボ効果で効いてしまうのです。
もちろん、ニセモノでも肩こりが治ればその人は幸せになれるわけで、その幸せな人を捕まえて「外せ」なんて口が裂けても言いません。でも「絶対効くよ!だって私も効いたから!」と言って人に勧めるのはできればやめてください。なぜか。残りの7人にあたる人が騙されるからです。
さて、実はこの似非(エセ)科学、ペットに関係する物事にもたくさん存在します。そのことを書こうと思っていたのですが前置きだけでこんなに長くなってしまいました。獣医師やペットを狙う悪質な似非(エセ)科学については、また日を改めて。
2013年12月10日
似非(エセ)科学
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| 日記
2013年10月09日
大きな病院・小さな病院
当院に来てくださっているダックスの後足が急に動かなくなったということで京都の夜間病院へ。そこで椎間板ヘルニアと診断され、治療を受けました。
次の日、来院してくださいましたが状況は好転していないので、診療後にCTを持っている知り合いの先生の病院(大きな病院です)へ走り、ヘルニアの確定診断と手術部位の特定をし、そのまま手術を済ませました。
椎間板ヘルニアは症状が急で重い場合は手術適応となります。それも、できるだけ早く手術したほうが回復もしやすくなります。今回の場合、「夜間病院」と「当院」そして「知り合いの先生の病院」と3つの病院が連携することで発症後24時間で手術することができました。
しかし、この連携は20年前なら考えられなかったことです。まず夜間病院がなかったこと、CTを入れている病院も限られていたこと。さらに、個人病院(しかも知り合いの先生)のCTなので、当日の夜に撮影という融通が利いたこと。さらにその場で手術できたこと。
お陰でその子は順調に回復しています。
私の病院は獣医師も一人で病院も小さく、正直できることは限られています。しかし、こうして連携を取ったり横のつながりを大事にすることで、最新の医療をご提供することも可能です。
これからも「小さい病院だからできない、仕方ない、難しい」という風に考えず、小さいからこそのフットワークを活かした診療ができるよう、努力していきます。
次の日、来院してくださいましたが状況は好転していないので、診療後にCTを持っている知り合いの先生の病院(大きな病院です)へ走り、ヘルニアの確定診断と手術部位の特定をし、そのまま手術を済ませました。
椎間板ヘルニアは症状が急で重い場合は手術適応となります。それも、できるだけ早く手術したほうが回復もしやすくなります。今回の場合、「夜間病院」と「当院」そして「知り合いの先生の病院」と3つの病院が連携することで発症後24時間で手術することができました。
しかし、この連携は20年前なら考えられなかったことです。まず夜間病院がなかったこと、CTを入れている病院も限られていたこと。さらに、個人病院(しかも知り合いの先生)のCTなので、当日の夜に撮影という融通が利いたこと。さらにその場で手術できたこと。
お陰でその子は順調に回復しています。
私の病院は獣医師も一人で病院も小さく、正直できることは限られています。しかし、こうして連携を取ったり横のつながりを大事にすることで、最新の医療をご提供することも可能です。
これからも「小さい病院だからできない、仕方ない、難しい」という風に考えず、小さいからこそのフットワークを活かした診療ができるよう、努力していきます。
posted by hiro at 11:52| Comment(0)
| 日記
2013年07月26日
偏食の話
医食同源という言葉がありますが、動物にとっても食事は健康の大変重要な要素です。
まずご理解いただきたいのは、人間にとっての食事の意味と犬猫にとっての食事の意味は少し違うということです。
人間は味覚が発達しているため、「いろいろな食材」を「色々な味付け」で食べる、という事を重視します。いわゆる食文化という考え方です。
つまり、栄養的に問題がないだけの食事では満足できないわけです。毎日同じ食事を食べないといけないとなったら、大げさに言うと人生の楽しみも半減してしまいますよね。
しかし犬や猫の場合、人間ほど味覚も発達していませんので、「いろいろな味を楽しむ」という欲はほとんどありません。もしあるとしたら、栄養学的に足りないものを補いたいという本能でしょうか(草食動物が塩を一生懸命舐めるような)。
つまり、犬や猫にとって「食欲」とは「栄養学的にきちんとしたものを、必要量摂取する」という事なのです。本来は味を楽しんだり、食材のバラエティを楽しむことはほとんどありません。(もちろん、まったく味がわからないわけではありませんが)
「えー、うちの◯◯ちゃんはすごいグルメで、△△△の□□□しか食べへんで。それって味が分かってるんとちゃうの?」
はい、そう仰ると思っていました。そういう子もいます。特に猫では「このメーカーのこの味しか食べない」という子も多いです。
しかし、それは後天的に学習した、つまり「そういうふうに育てられた」からそうなったのであって、残念ながら◯◯ちゃんの味覚が特別に優れているわけではないのです。
(食文化的に考えれば、1つのものしか食べないというのは必ずしもグルメってわけではないですよね)
もちろん、生まれつき偏食傾向がある子もいますが、多くは子犬・子猫の頃からきちんと食についてしつけができていればそうはならなかった可能性も高いのです。
特に、熱心で頭がよく、人一倍可愛がる飼い主さんが陥りやすい失敗なのですが、子犬・子猫が一食でも食べないと心配してフードを変えたりトッピングをしたりする。すると動物はどう思うか。
「あ、ご飯を食べるのを1回我慢したらもっと美味しいものが出てくるんだな」
と学習します。そして悪循環が始まり、ついにはジャーキーしか食べないなんて子も・・・・
つまり「ぜいたく病」ですね。(すべてのジャーキーが悪いわけではありませんが、所詮はオヤツですね。ご飯の代わりにオヤツだけ食べて生きていくことは、不可能とは言わないけれどリスクが高すぎます)
「ぜいたく病」でフードを食べない場合は、15分ぐらいでフードを下げてしまって、次の食事まで水以外一切与えないで下さい。それを2〜3日繰り返せば、ほとんどの子は根負けします。
ただし、この方法は肥満気味の猫に対して行うと「肝間脂肪症」という病気を引き起こす可能性があるので、太り気味の猫ちゃんには行わないで下さい。あと、ぜいたく病かどうかわからない場合(病気で食欲が無い場合)ももちろんありますので、この方法を始める場合は必ず相談してからにしてくださいね。
posted by hiro at 12:32| Comment(0)
| 健康
2013年07月05日
臨時休診・夏季休診のお知らせ
久しぶりの更新です。
もうすぐ梅雨も終わりですが、だいぶ蒸し暑くなってきました。
湿度が高い時は、気温が30度ぐらいしか上がらなくても熱中症になる
可能性が高くなります。特に家で留守番をする室内犬はお気をつけください。
さて、7月24日(水曜日)は、都合により臨時休診させて頂きます。
25日の木曜日と連休になりますので、どうかご注意下さい。
次に、今年のお盆の診療について。
8月12日(月曜日)、13日(火曜日)、14日(水曜日)の3日間、
午前診(9:00〜12:00)のみの診療とさせていただき、午後からは
休診させて頂きます。ご了承下さい。
あと、夏季休診ですが、
8月19日(月曜日)〜23日(金曜日)の5日間とさせて頂きます。
大変ご迷惑をお掛けしますが、夜間の休館は南京都夜間動物診療所等をご利用下さい。
夜間診療所等に関するインフォメーションは、こちらをご覧下さい。
もうすぐ梅雨も終わりですが、だいぶ蒸し暑くなってきました。
湿度が高い時は、気温が30度ぐらいしか上がらなくても熱中症になる
可能性が高くなります。特に家で留守番をする室内犬はお気をつけください。
さて、7月24日(水曜日)は、都合により臨時休診させて頂きます。
25日の木曜日と連休になりますので、どうかご注意下さい。
次に、今年のお盆の診療について。
8月12日(月曜日)、13日(火曜日)、14日(水曜日)の3日間、
午前診(9:00〜12:00)のみの診療とさせていただき、午後からは
休診させて頂きます。ご了承下さい。
あと、夏季休診ですが、
8月19日(月曜日)〜23日(金曜日)の5日間とさせて頂きます。
大変ご迷惑をお掛けしますが、夜間の休館は南京都夜間動物診療所等をご利用下さい。
夜間診療所等に関するインフォメーションは、こちらをご覧下さい。
posted by hiro at 11:23| Comment(0)
| お知らせ
2012年11月23日
猫のストレス
前回に引き続き、猫のお話。
猫は犬と違って基本的には群れを嫌う生き物です。
つまり自分の縄張りには自分1頭だけがいるのが基本(もちろん人は除きます)。
よって、1つの家の中に新しい猫が来たり、放し飼いで多頭飼育をするというのは本来猫にとって大きなストレスがかかる行為なのです。
さらに、多くの猫は外へ出ていきたがる。去勢・避妊を済ませていない場合は本能的な行為ですから当然ですが、手術を済ませていても多くの猫は外へ出ていきたがります。しかし生活環境に恵まれている外国や郊外ならともかく、都会に済む猫達は家の中での生活がメインになっています。外へ自由に出かけるのは、ウイルス病の感染・喧嘩・事故(特に交通事故)などのリスクが大きいからです。
つまり、都会の猫には、普通に暮らすだけで大きなストレスがかかっているのです。交野は都会ではありませんが、かといって自由に猫が外で暮らせるほど田舎でもありません。
あなたの飼い猫がどれくらいストレスを抱えているか、気になりませんか?もし気になるなら、こちらの「ストレスリスクチェック」で調べてみてください。
キャットストレス.com
にゃんこのその行動、ひょっとしたらストレスによるものかも・・・
猫は犬と違って基本的には群れを嫌う生き物です。
つまり自分の縄張りには自分1頭だけがいるのが基本(もちろん人は除きます)。
よって、1つの家の中に新しい猫が来たり、放し飼いで多頭飼育をするというのは本来猫にとって大きなストレスがかかる行為なのです。
さらに、多くの猫は外へ出ていきたがる。去勢・避妊を済ませていない場合は本能的な行為ですから当然ですが、手術を済ませていても多くの猫は外へ出ていきたがります。しかし生活環境に恵まれている外国や郊外ならともかく、都会に済む猫達は家の中での生活がメインになっています。外へ自由に出かけるのは、ウイルス病の感染・喧嘩・事故(特に交通事故)などのリスクが大きいからです。
つまり、都会の猫には、普通に暮らすだけで大きなストレスがかかっているのです。交野は都会ではありませんが、かといって自由に猫が外で暮らせるほど田舎でもありません。
あなたの飼い猫がどれくらいストレスを抱えているか、気になりませんか?もし気になるなら、こちらの「ストレスリスクチェック」で調べてみてください。
キャットストレス.com
にゃんこのその行動、ひょっとしたらストレスによるものかも・・・
posted by hiro at 10:45| Comment(0)
| 健康