2012年02月06日

盲導犬

皆さんは盲導犬についてどう思いますか?
実は私、あんまり賛成じゃないんです。

盲導犬がいないと外出もままならなかった全盲の方が、一人(+一頭)で自由に歩けてどこへでも行ける。これはもう素晴らしいことだと思いますし、社会福祉の観点からも推進すべきだとは思います。

でも・・・私はこう思うんです。「その子(盲導犬)の幸せはどうなってるの?」って。

小さい頃から自由を制限され、訓練され、プレッシャーを常に感じながら働かされる。ハーネスをつけたら、体が痒くても雨に濡れても他の犬に吠えられても我慢を強いられる。そして歳を取ったらお払い箱。慣れ親しんだ飼い主と別れ、また新しい家や老犬ホームに収容される。

こうして書くとまるで動物虐待のようではないですか?今の現状を見るかぎりそれはあながち間違いでもないという気がします。日本では、盲導犬とは「盲人が幸せになるための道具」扱いされていて、その「道具」の幸せは二の次三の次になっている気がするんです。

ワクチン・フィラリア・ノミ予防は本当にきちんとしてもらっているんでしょうか?目の不自由な方が盲導犬の病気に気づいてあげられるのでしょうか?引退したあと、8年近く一緒に居たオーナーは面会に来てくれるのでしょうか。

もちろん、ほとんどのオーナーの方はペット以上の愛情と慈しみを持って盲導犬に接していると思います。しかし、股関節の異常があってひどい痛みがあり、跛行(びっこをひくこと)しているにも関わらず、自分の講演のためにあちこち連れ回しているオーナーや、虐待をしているのが明らかなのに見て見ぬふりをする某県の盲導犬協会などが存在するのは事実のようです。

また、引退後には老犬ホームのような姥捨て山に引き取らせ、会いにも行かない飼い主も多いと聞きます。本当に犬の幸せを考えるのなら、引退したら自宅でのんびりと余生を過ごさせてあげるのがせめてもの筋だと思うんですが、そんな余裕もないのでしょうか。そんな余裕すら無いのであれば、盲導犬を希望しないでほしい!と私は思います。

盲導犬はその激務のため長生きできないと聞きます(日本盲導犬協会のウェブを調べましたが、データが見つかりませんでした。ですからこれは間違いかもしれません)。だから盲導犬をやめろとはいいませんが、もう少し犬たちの幸せについても考える人が増えてくれたらな、と思います。


(今回の日記は、私が実際に目で見た情報が少なく、事実と異なる部分があるかもしれません。しかし、マスコミや社会が「盲導犬は社会的弱者である目の不自由な人のために必要なのだ。だからそれに異を唱えるのは許されない」という、ある意味思考停止状態になっているのを危惧して書きました。事実誤認があれば後日訂正します)
posted by hiro at 18:23| Comment(4) | 日記

2012年01月29日

寿命?

毎日寒いですね。巷ではインフルエンザが大流行とのこと。
皆様もどうかお気をつけ下さい。


今でこそ気軽に来てくださるようになりましたが、私が開業した頃はまだ「動物病院は贅沢品(?)」と思われている方も多く(というより「ボッタクリだ」と思われていたかもしれませんが・・・)、飼い犬や飼い猫が多少調子が悪くなっても大黒柱のお父さんが「んなもん、放っといたら治る!」と、ギリギリまで様子を見られ、病院へ来る頃にはもう息も絶え絶え・・というケースが跡を絶ちませんでした。

最近のように動物たちを家族同然に可愛がっている方からすれば信じられないかもしれませんが、昔は「もうダメかもしれないな、じゃあ病院へ連れて行くか」と考える人も多かったのです。え、そんな状態で動物病院へ連れて行くっても仕方ないのではって?違うのです。

そこで「助からない」という事を確認して、心に区切りをつける(諦めるため)に動物病院を訪れるのです。ですから「ああ、これはもう寿命ですね」とか「もう手遅れですね・・・」とか「せめてあと5日早く連れてきてくれたら手の施しようもあったのに・・・」と言ってくれる獣医さん(しかも、一目見て断定するような)がその時代の名医でした(えっと、この話はあくまで一般論です)。

逆に、そういう人に「だいぶ重症のようですから、検査しましょう」とか、「◯◯という病気が疑われますので、治療(手術)をすれば助かる可能性があります」と言うと、怪訝な顔をしたり困った顔をしたりして、もじもじながら「あの、先生、もうこの子の寿命なんで(検査も治療も)いいです」と返されてしまいます(そういう方はだいぶ減りましたが)。

で、その心の底には、多くの場合金銭的な問題が絡んでいます。それは悲しい事だけど私がどうこういえる問題ではありません(はっきりおっしゃってくださる方には、色々な問題解決方法を提示することは可能です)。

でも、本気で「この子はもう寿命だ。私がそう思ったんだから間違いない。あと数日で死ぬんだ!」と決めている方がまれに居て、そういう人はこちらが説明すればするほど頑なになってしまわれます。一番の悲劇は、ご家族の多くが検査や治療を望んでおられるのに、家長さんであるお父さんやお爺ちゃんが首を縦に振ってくれない場合。診察室は死にそうな動物を前にお通夜状態になります。


というわけで、つまり何が言いたいかというと、

「私は名医ではないので、一目診ただけでその子が寿命なのかどうかわかりません。だから、本当に寿命なのかどうか、もし病気であれば治る見込みがあるのかどうかを調べるため、せめて検査だけでもさせてください。そしてその結果を見て、どうするか決めてあげてください」

と言うことなのです。
posted by hiro at 12:01| Comment(4) | 診療

2012年01月25日

歳をとって初めて分かること

今日は自分自身のことについて。

開業した頃は髪の毛もまだ多く体重も50kg台をキープし、「若者」であった私ですが、去年4度目の歳男を迎え50歳まであと一歩、頭は寂しくおなか周りは充実と「押しも押されぬ中年おやぢ」になってしまいました。しかし、この歳になって初めて判ってきたことがいくつかあります。

例えば。自身の老眼が進んできてやっと「小さな字で書かれているものがいかに不親切か」という事に初めて気づきます(このブログはどうでしょうか?小さすぎますか?もしそうなら、キーボード左下辺りにある「ctrl」キーを押しながら「+」キーを何度か押してみてください。「+」キーはデスクトップならテンキーの右側に、ノートならenterキーの3つぐらい左にあると思います。なお、元に戻す時は「ctrl」キーを押しながら「-」キーです)。

老眼は本当にイライラします。そこに見えているものがちょっと暗かったり字が小さいだけでまったく理解できないのですから。しかしその不便さは、実際になったものでないと分からないですよね。

そして、ふと気づくのです。「いままで、強者の立場からしか物事を見ていなかったんじゃないか?」と。お年寄りや体の不自由な人、妊婦やけが人など、いわゆる「弱者」と呼ばれる人が世に中にはたくさんいます。そういう人に対して、果たして自分はその人の立場に立った対応ができていたのだろうか?鼻持ちならないぐらい上から目線で接していたことがあるんじゃないか?と。

特に獣医師は「先生」と呼ばれる職業です。いやらしい話ですが「ありがとうと言われ、なおかつお金をいただける」仕事の1つです。だから「自分は偉いんだ」と無意識に思ってしまいがちです。

でも、そこはいつも自戒しなければいけません。決して自分は偉いわけではないし、いつも正しい訳ではない。飼い主さんの立場に立って考える。バランス感覚と云うか、自然体と云うか、そういう感じで居なければいけません。本来なら当たり前のことなんですけどね。

今日はちょっと偽善的な日記になってしまいましたが、私自身へ言い聞かせている回だと思ってご理解ください。あと、もし、私が病院で偉そうにしていたら遠慮無く叱り飛ばしてください(笑)。

posted by hiro at 12:32| Comment(0) | 日記

2012年01月22日

動物病院と電話

というわけで続きです。

前回、「(何か異常があって)すぐ連れてこれないなら、電話相談だけでもかまいません」と書きましたが、電話の件でお願いしたいことがいくつかあります。


まずは時間。病院にお電話いただくのは原則的に診察時間内になります(それ以外の時間は申し分けありませんが留守番電話の対応になります)。ですから、診察中で院長の手が離せない可能性があるということをまずご理解ください。その場合、こちらから改めてお電話させて頂きます。


次にお電話で受ける質問についてですが、基本的に電話だけで病気かどうか・重症かどうかを判断することはできません。実際に目で見てみないことには、診断が下せないのです。

よくあるご質問が、「〜なのですが大丈夫でしょうか?」「〜してるのですが連れていったほうがいいですか?」というものです。お気持は大変よく分かりますし、心のなかで「大丈夫ですよ」「そのままお家で様子を見ていただいて結構ですよ」と言って欲しいという本音が伝わってくる場合も多いのですが、残念ながら、電話で様子を聞いただけですべてわかってしまうほどの名医でも超能力者でもありません(笑)

冗談はさておき、この話を別の職業に置き換えてみてください。カーディーラーに「最近走っているとガタガタ音がするようになったんですが、故障ですか?」と聞いたら、きっと「それだけでは分かりませんので、一度見せて下さい」と言うと思います。自動車に例えるのが不謹慎なら、小児科のお医者さんに「うちの子が泣き止みません。どうしてですか?」と電話で聞いたと考えてみてください。「それだけでは判断しかねますので、できればご来院ください(それだけで判るか!連れてこい!!)」と答える(括弧内は心の声)と思います。


ここまで読んで、『あれ、「お気軽に電話相談してください」って書いてたのに「電話では分からない」って、どういうこと?』と思われた方は大変聡明な方です(笑)。そうなのです。一見矛盾するんですよね。実は私が本当に言いたいことは、「電話だけでは体の不調のことはわかりませんので、電話相談を足がかりにぜひご来院いただけますか?」ということなのです。

もちろん、しつけの問題や食事の悩みなど、電話でお答えできることに関してはご相談を承ります。


あと、診察時間内の電話で世間話をされたり、まったく関係のないことを機関銃のようにお喋りになられる方がたまにいらっしゃいます。親しみの表現として大変嬉しいのですが、看護師さんがカルテを持って、私の背中を睨んでいる(外来で何名も人が待っている)場合もありますので、病気に関係ないお喋りはどうかご遠慮ください。


ただ、こういう話を読んで「そうか、気を付けないといけないな」と思ってくださる方は、そもそもそういう事(電話での無理難題や診察中の長電話)をされたり仰ったりしない方で、逆に「そんな非常識な人がいるんだ。ふーん」と読み流してしまう人こそ無意識にそういう行動をされているというのがよくあるパターンなんですよね。


今回はちょっとだけ本音が出てしまいました。よりよい診療のため、外来の患者さんをお待たせしないためのお願いですので、どうかご理解くださいますようお願いいたします。

posted by hiro at 11:02| Comment(0) | 診療

2012年01月20日

最初に考える事

病院に病気の動物が連れてこられた時、獣医さんが「とりあえず、最初に考えておかなければいけない事」が1つだけあるんです。何だと思いますか?病名の推測?動物の性格?飼い主さんがモンスターペイシェントであるかどうか?飼い主さんの懐具合(笑)?

正解は「その病気で今日明日にも死んでしまう可能性があるかどうか」なんです。これは獣医さんによって差はあると思いますが、少なくとも私はそれを勤務医の時に教えられました。

なぜか。動物たちが何らかの症状を示すというのは、実は考える以上に重症であることが多いのです。その理由としては、多くのことが考えられます。

言葉を話せないことは当然として、動物は多少の体調不良があっても隠す傾向にあること。不調でも食欲が落ちなかったり、いつもと同じような元気さで散歩に行ったりする子も多いこと。また逆に、食欲や運動量が落ちても飼い主さんが「歳のせい」と先入観をもって考えてしまいがちなこと。

さらに、犬猫は寿命が短く人間よりも病気の進行が早い傾向にあります。飼い主さんの共働きや核家族化により、動物と一緒にいる時間が短い(ので十分観察できない)というのも関係あるかもしれません。10年以上飼っているけどその間一回も病気をしなかったので、この子は病気にならないんだ、と思っていた飼い主さんもいます。気持ちはわからなくもないのですが・・・

そういう理由が積み重なり、不調は目に見えない状態で進行し、そしてある日限界を超えた瞬間に「がくっ」と調子が落ちるという訳です(もちろんすべての病気がそういう進行具合になるわけではないですが)。

つまり、飼い主さんが考えている以上に深刻な事態であるという事がままあるのです。それは単に「ちょっと元気が無い」だったり、「食欲がない。でも好きなジャーキーは食べる」だったり、「ニャーニャー鳴いてウルサイ」だったりするのですが、死ぬ一歩手前という事もあり得るのです。

ですから、獣医師としては「とりあえず様子を見ていく治療」でいいのか、「一応検査をして、最悪のケースでないことを確認しておく」方がいいのか、「思った以上に深刻な状態なのですぐに出来る限りの検査・治療をしていく」方がいいのかを最初の段階で判断しないといけません。

我々が最も恐れるのは、「深刻な状態」だったのにそれに気づかず(あるいは何となく気づいていたのに説明不足で)、必要な初期治療が出来なかったり、飼い主さんにその深刻さをうまくお伝えできないケースです。

助けられたかもしれない命が助からなくなってしまう事はもちろん、飼い主さんの立場からすれば「病院に連れていって治療してもらったのに次の日に死んでしまった。どうなってるんだ!」という事になります。
そういう事態は絶対に避けないといけません。


ですから、飼い主さんにお願いしたいのは「動物が不調を訴えた時は相当病気が進行しているかもしれない」という事を頭の片隅に入れておいて頂き(特に老齢犬の場合)、気になるならできるだけ早く病院へ連れてきていただきたいということです。

大げさ過ぎるぐらいに心配する。それがものを言わない動物たちの健康管理には効果的なのです。すぐ連れてこれないなら、電話相談だけでもかまいません(でも、電話で「大丈夫」とはまず言いませんけどね。その件についてはまた次回)。


posted by hiro at 19:05| Comment(4) | 診療